トゥラリーのバラ

 過ぎゆく夏のフェスティバル
(これは2007年のブログです。)
 
アルビレックス新潟からこのブログへ来られたみなさん、いよいよJ1が再開し、11日はアウェーでガンバ戦がありますが、その前にちょっとサッカーから目をそらせてみましょう。
 
アルビくんとスワンちゃんの物語はとても幸せで、7月にはアーくん、ルーちゃん、ビィくんも誕生しました。
でも、世の中には報われない恋もあります。
 
それは19世紀、当時英国領だったアイルランドでのことでした。
 
アイルランド/スコットランド経由でこのブログへ来られたみなさん、8月はゲールの街トゥラリーでとても美しいお祭りがあります。
The Rose of Tralee という歌はご存じと思いますが、その歌にまつわるお祭りです。
 
それは19世紀、当時英国領だったアイルランドでの実話に基づいています。
 
裕福なマルチノック(Mulchinock)家でお手伝いさんとして働いていたメアリー・オコーナー(Mary O’Connor)と、マルチノック氏の息子、ウィリアム・マルチノック(William Mulchinock)との悲しい恋の物語です。
 
本当はもっと複雑なのですが、ざっと話をまとめてみました。
 
メアリーが働いていたマルチノック家には3人の息子と1人の娘がいました。ウィリアムは長男で、姉弟と少し違い、夢見る詩情豊かなな男性でした。
ウィリアムはメアリーに好意を寄せていましたが、マルチノック氏は名士で、息子が下層階級のメアリーに近づくことはよしとせず、また、社会的にも2人の交際が認められるものではありませんでした。
マルチノック家に不幸が訪れたのは1828年のことで、ウィリアムの父親が亡くなります。それから12年後の1840年にはウィリアムの相談相手であった弟のヘンリーが死亡したのです。
そんな中で、ウィリアムは、姉の子供たちを世話するメアリーにますます心を引かれていきます。
 
ある晩、愛し合う2人、ウィリアムとメアリーは泉のそばにある梯子に腰を掛け語り合っていました。日が落ち、月が昇り、静けさが漂う森の中で、ウィリアムは口ずさみます。
蒼白い月は緑の山の上に上り、太陽は青い海に落ちていった・・・The pale moon was rising above the green mountain, the sun was declining beneath the blue sea・・・」
「私がこれまで聴いた中で最も美しい歌。でも、なぜかしら恐い・・・It somehow makes me afraid・・・」メアリーが言います。
メアリーには不吉な予感がよぎるのです。
 
そして、ある日、ウィリアムは政争の中で殺人罪に問われ、追われる身となります。ウィリアムはインドへ追放され、当時インドを支配していた英国軍の従軍記者として働きます。彼は6年後に帰国が許可されましたが、戦争で重症を負い、目も見えなくなっていたといわれます。
 
しかし、帰ってきた彼を待っていたのは、メアリーの葬儀でした。
当時、アイルランドはジャガイモ大飢饉のまっただ中でした。そんな中でメアリーも結核によりウィリアムの帰国とともに命を落としたのです。
失意のウィリアムは歌います。「遠いインドの野、戦場の轟音の中で、彼女の声は慰めであり、癒しであった・・・In the far fields of India, ‘mid war’s dreadful thunders, her voice was a solace and comfort to me・・・」
 
その後、ウィリアムはアリスという女性と結婚し、アメリカへ渡りますが長続きはせず、別れた後、44歳で亡くなりました。
ウィリアムの心にはずっとメアリーが宿っていたのです。
 
今、ウィリアムはトゥラリーでメアリーの墓の隣に埋葬されています。

 
この話を基にし、アイルランドで1959年以来毎年開かれているお祭りがあります。
「トゥラリーのバラフェスティバル(Rose of Tralee Festival)」と呼ばれるもので、アイルランドだけでなく、米国、オーストラリア、ニュージーランド等々全世界から選び抜かれたRoseたちが8月中~下旬、アイルランドのゲール語地域(ゲールタハト)、ケリー州のトゥラリーに集います。
Roseに応募する条件は18歳以上で、フェスティバル最終日に28歳に達していなくて婚姻歴がなく、子供もいない、アイルランド生まれかアイルランド人の子孫である女性で、水着審査はありません!
美しさだけでなく、知性、アイルランド文化に対する理解なども求められるようです。
とは言え、今年のRoses(2010年版にしました)はやはり美しい!アルビレックスチアリーダーズに匹敵します。
 

今年(2007年)は8月17日から21日まで開かれます。
18日の土曜日にはマーチングバンドが出演したり、クラフト・フェアーが開かれたりと、楽しそうです。
フェスティバルの間、Roseたちはパレードやダンスパーティーに参加します。
そして、最終日の8月21日、この年の"Rose of Tralee"が選ばれます。この模様はアイルランドの公共放送RTÉで実況中継されます。
アイルランドへ行ったことのない私はもちろん見たことはありませんが、多くの観光客が訪れるようです。

 

また、21歳から30歳の男性は Roses をエスコートすることができます。でも、応募には25ユーロを払わなければならず、また応募者が所属する企業等(スポンサー)は2,000ユーロを拠出しなければなりません。
(主催者の独り言:いやー、最近このフェスティバルも運営が厳しく、なんとか財政を維持しないといけないんでのう・・・)

 
イケメンであることは特に条件に書いてありませんが、ワルツが踊れないといけないでしょうね。舞踏会では多分「The Rose of Tralee」に合わせて踊ることになるでしょうから。

 

The Rose of Traleeの歌詞と拙訳を書いておきます。参考にしてください。
リフレインの  ‘twas not her beuty alone that won me. と  ‘twas the truth in her eye ever dawning that made me love Mary がよい対応をなし、コンテストにも生かされています。キーフレーズは「truth in her eye」です。
美しいだけではなく、瞳に真実が宿る人・・・そんな女性が Rose に選ばれているはずです。
 
そして、8月21日、今年の Rose of Tralee が選ばれました(2009年版)。最後にパックでトゥラリーのバラを歌うグループがイマイチですが、現地からの中継(録画)をお楽しみください
 
YouTubeではパディ・ライリー(Paddy Reilly)の歌をお聴きください。
  
 
              The Rose of Tralee                                              トゥラリーのバラ
 
1.The pale moon was rising above the green mountain,    蒼白(しろ)い月は山に昇り、

 The sun was declining beneath the blue sea.         日は落つ青い海の端(は)。

 When I strayed with my love to the pure crystal fountain  君とさまよい辿る泉

 That stands in the beautiful vale of Tralee.          包み賜うトゥラリーの谷。

 

                           -refrain-                              -くり返し-

   She was lovely and fair as the rose of the summer      美しい君は夏のバラ

   Yet ‘twas not her beauty alone that won me.         さにあらずや焦がれしは。

   Oh, no! ‘twas the truth in her eye ever dawning,       真実(まこと)の愛、瞳の奥、

   That made me love Mary, the Rose of Tralee.          宿す君はトゥラリーのバラ。     

 

2.The cool shades of ev’ning their mantle were spreading,    闇を広げぬ夜(よ)のとばり、

 And Mary all smiling was list’ning to me.           微笑む君と語りぬ。

 The moon through the valley her pale rays was shedding,  月に浮かぶ君の姿

 Then I won the heart of the Rose of Tralee.            心開くトゥラリーのバラ。

                 

                                               -refrain-                       -くり返し-

 

3.In the far fields of India, ‘mid war’s dreadful thunders,    嵐すさぶ戦争(いくさ)の野に 

 Her voice was a solace and comfort to me,           安らぐ君の呼びかけ、        

 But the chill hand of death has now rent us asunder,     今や冷たき君の御手(みて)に、  

 I’m lonely tonight for the Rose of Tralee.                               独り偲ぶトゥラリーのバラ。

 

                                                -refrain-                             -くり返し-

 

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 エンブレム

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