スコットランドのつりがね草

いくさに行った若者を思う
 
日本にスコットランド民謡としてかなり早く入ってきた曲にスコットランドのつりがね草があります。
堀内敬三の訳がよく知られていて、次のようなものです。
訳と言うより作詩そのものですけど。
 
  つりがね草
 
こみどりの  森の下かげ
ひやびやと  風がわたれば
目をさまして つりがね草は
風の歌に    ひとりほほえむ

鳥もこぬ        森のしたかげ
ひといろの     緑の中に
白く光る          つりがね草は
さびしそうに ゆれてまどろむ

 
一方、明治時代に日本に「小学唱歌」として導入された時には稲垣千頴の訳(1818)が採用されました。
 
   うつくしき
 
うつくしき わが子やいずこ
うつくしき わが長の子や
弓とりて    君のみさきに
勇みたちて 別れゆきにけり
 
うつくしき わが子やいずこ
うつくしき わが中の子や
太刀帯きて 君のみもとに
勇みたちて 別れゆきにけり
 
うつくしき わが子やいずこ
うつくしき わが末の子や
ほこ執りて 君のみあとに
勇みたちて 別れゆきにけり
 
この方が原詩と言われているものにやや近いのではないかと思われます。
 
そしてその一つを下に書きます。恐らく最も一般的な詩ではないかと思われます。
内容から伺われるように、この曲は戦さ(noble deeds)に駆り出されたハイランドの若者を思い歌ったものです。
その戦さは何だったのでしょう?
年代からすると18世紀末の英仏の争い?
既に「連合王国」の名の下にスコットランドを手中に収めていたイングランドが呼び寄せたハイランダーなのでしょう。
反戦フォークソング「花はどこへ行った?」にも通じる曲ではないでしょうか。
 
     The Bluebells Of Scotland
 
Oh where, tell me where is your highland laddie*1 gone?
Oh where, tell me where is your highland laddie gone?
He’s gone with streaming banners where noble deeds*2 are done
And it’s oh! in my heart I wish him safe at home.
 

Oh where, tell me where did your highland laddie dwell?
Oh where, tell me where did your highland laddie dwell?
He dwelt in bonnie*3 Scotland where bloom the sweet bluebells
And it’s oh! in my heart I rue my laddie well.

Oh what, tell me what if your highland lad be slain*4?
Oh what, tell me what if your highland lad be slain?
Oh no, true love will be his guide and bring him safe again
For it’s oh! my heart would break if my highland lad were slain.

 
註:
*1laddie、lad:boy、(対語はlassie、lass:girl )
*2noble deeds:気高い行為、すなわち戦争
*3bonnie:pretty、beautiful、handsom
*4slain:slay(kill、殺す)の過去分詞
 
    
 コリーズ(The Corries)による「スコットランドのつりがね草」

ヨーロッパの歴史に関心のある方はこちらをClickしてみてください。

4件のコメント

  1. 小川 智

    クリスマスコンサートへ出かけたのですが、この曲が演奏されました。
    立派なプログラムにはL.アンダーソンと書かれ、司会者もそう紹介しましたが、私は中学校でこの曲を授業で歌い、その教本にスコットランド民謡と書かれていたのを記憶しています。
    好きな曲で気になっていたので調べました。
    アンダーソンじゃなかったですね。
    立派なオーケストラと演奏家のによるものでしたが、あまり調べていないのでしょうか。
    ちなみに其の時の歌詞は、山陰に水音高く、(もう一節ありました)森の陰の谷間の百合はほのぼのと群れつつ匂う といった歌詞でした。
    スコットランド、アイルランド民謡などに日本風の訳をつけたものを、ずいぶん聞いた機がしますが、総まくりでCDにしたらどうでしょうか?欲しいですね。
    団塊前後の世代にはとても懐かしいと思います。

    • 小川 智 様
      コメントありがとうございました。
      このブログの設定が悪く、コメントを拝見するのが遅くなってしまい申し訳ありません。
      スコットランドのつりがね草はスコットランドに伝わる曲で、民謡と言ってよいと思います。
      アンダーソンは米国の作曲家、リーロイ・アンダーソン(Leroy Anderson)のことを言っているのでしょう。アンダーソンはこの曲をオーケストラ向けにアレンジしています。従って、コンサートで聴かれた曲がスコットランド伝統歌としてのメロディーではなく、アンダーソンによるメロディーだったと理解すればよいのではないでしょうか。
      ご紹介いただいた日本語の歌詞については私も調べてみます。
      私が学校で習ったのは「こみどりの森の下かげ・・・」でした。
      MSNからトランスファーした見づらいブログですが、何かの折にまたお越しいただければ幸いです。

  2. ヒース

    とんぼのぱぶ3さん返事が遅くなりすみません。コメントありがとうございます。この歌は日本ではつりがね草そのものを歌った歌詞に訳されていますが、本来は戦争に駆り出されたスコットランドの若者を偲んでかかれたものです。スコットランドやアイルランドの歌には日本人の情緒に通じるものがあるようです。

  3. ばぶ3

    はじめて聴く歌ですが、不思議と、懐かしさのようなものを感じさせる旋律ですね。出会わせてくれたことに感謝。

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