飢饉、そして移民(2)-exile 流刑

言われなき罪を負わされ
 
アイルランドから飢餓と貧困のために移民した人のことは前回のブログで書きましたが、アイリッシュが海外へ流出したのは必ずしも「自主的」なものばかりではありません。
中にはチョットした犯罪で流刑の罪に処せられた人もいました。
以前、私と一緒に働いていたオーストラリア人が、自分の先祖を称して次のように言っていました。
「自分の先祖はアイルランドとスコットランドの間にある小さな島からオーストラリアへ流刑になったんだ。でも、当時の流刑はほんのささいなことで決定されたんだよ。たとえば日中にお酒を飲んでいたとか、近所からちょっとした物を盗んだとか。そりゃあ、罪は罪だけど、それで流刑だからねぇ。罪人なんて言ってほしくないね。」
 
1800年代半ばに始まったアイルランドのジャガイモ大飢饉は1847年に最悪の事態となります。(暗黒の47年;Black ’47)
当時、この飢饉の救済に当たったのはイングランドの財務事務次官だったトレヴェリアン(Charles Edward Trevelyan)でしたが、彼は、「飢饉はアイルランド人口の増加を抑制する機序」とみなし、「神はアイルランド人に教訓を授けるためにこの災害を送られた...(The judgement of God sent the calamity to teach Irish a lesson...)」とまで言い切ったのです。
トレヴェリアンに真の救済策など取れるはずがなく、結果としてアイルランドにジェノサイドと言ってよいほどの惨状をもたらしました。
そして、アイルランド人口を減らそうとする政策とも相俟って、移民とは別に、ほんのささいな罪を犯したアイルランド人まで次々に流刑に処したのです。
流刑先には遠く離れたオーストラリアもありました。
      *政策の概要は飢饉、そして移民(序)に書きました。
 
アセンライの野(The Fields Of Athenry)は1979年、アイルランドのピート・セント・ジョン(Pete St John)によって書かれました。
ピート・センント・ジョンは、サッカー、アイルランドナショナルチームのサポートソングともなっているゲールの意気(The Spirit Of The Gael)の作者としても知られています。
マイケルの罪は「トウモロコシを盗んだ」というもので、トウモロコシの所有者としてのトレヴェリアンが象徴的に使われています。
 
もちろん、流刑の本当の目的は反英思想を持つ者の追放です。
 
アセンライはゴルウェー州の町です。
 
  
 アセンライを地図で示す。(Philips’ School Atlasに加筆
 
この歌はアイルランドのフォークグループ、パディー・ライリー(Paddy Reilly)が歌い、一躍有名になりました。    
 パディー・ライリーの歌う「The Fields Of Athenry」
 
この曲はまた、アイルランドナショナルチームのサッカーやラグビーの試合中ににもしばしば歌われ、特に相手がイングランドだとスタジアムが一体となります。
 
 ラグビー国際試合(アイルランドvsイングランド)で歌うサポーター
 
スコットランドではサッカーのプレミアリーグで中村俊輔が所属するケルティック(セルティック)のサポーターもよく歌います。
それは、あたかも自らがアイリッシュであることを主張しているようでもあります。
 
 「The Fields Of Athenry」を歌うケルティック(セルティック)サポーター
 
暗黒の47年から150年目の1997年、コーク州で行われた集会で、トニー・ブレア(Tony Blair)英国首相からの書簡が読まれ、その中で、ブレア首相はは英国政府として初めて、この時の政策の過ちを認め謝罪しました
その謝罪は必ずしも十分なものではありませんでしたが、その時から北アイルランド和平の動きが少しずつ出だしました。
 
                   The Fields Of Athenry

 

By a lonely prison wall, I heard a young girl calling

Michael they have taken you away

For you stole Trevelyan’s corn*1, so the young might see the morn

Now a prison ship lies waiting in the bay

 

                              CHORUS:

     Low lie the fields of Athenry

     Where once we watched the small free birds fly

     Our love was on the wing, We had dreams and songs to sing

     Now it’s lonely round the fields of Athenry

 

By a lonely prison wall, I heard a young man calling

Nothing matters, Mary, when you’re free

Against the Famine and the Crown, I rebelled, they ran me down

Now you must raise our child with dignity

 

                            CHORUS

 

By a lonely harbour wall, she watched the last star falling

As the prison ship sailed out against the sky

Sure she’ll wait and hope and pray, for her love in Botany Bay*2

Its so lonely round the fields of Athenry

 

                           CHORUS

 

*1Trevelyan’s corn:上に述べたトレヴェリアンを敢えて使っています。

*2Botany Bay:ボタニー湾(シドニーの港)

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