ふるさとの歌(II)-ニュージーランド

ふるさとの歌(II)
(10)Hine E Hine
誇り高きニュージーランド

 

今回のふるさとの歌(II)は第2回に続きオセアニアです。
そしてその国はニュージーランドです。ニュージーランドは日本と同じように島国であり、火山国でもあります。南北の違いはあるものの、緯度も似ています。
ニュージーランドは英国(女)王を元首とする立憲君主国で、英連邦に属しています。
日本でニュージーランドの歴史について学ぶ機会はそれほど多くはないと思われますし、私もよく知りません。しかし、どの国でもその国の歴史があります。ここでも少し触れてみることにします。
 
【初期のニュージーランド】
ニュージーランドに人が住み着いたのは紀元後のことで、History of the World(The Dorling Kindersley, London, UK, 2007)によれば、紀元900年頃、クック島からマオリの祖先がやってきたとされています。彼らはここをAotearoa(白く長い雲のたなびく地)と呼んでいました。11世紀になるとポリネシアの島々から多くの人がやってきて、ニュージーランドで暮らしていました。
13世紀から14世紀にかけて、ニュージーランドのマオリたちはその居住をイースター島にまで拡大していきました。マオリ文化が花開いた時でもあります。
16世紀にはマオリはパー(pa)と呼ばれる要塞を造ったりもしました。
 
【大航海時代から近代へ】
ニュージーランドがヨーロッパに知られるようになったのは、大航海時代に入ってからです。
1642年12月、オランダ人、タスマン(Abel Tasman)がニュージーランドを訪れました。しかし、タスマンはニュージーランドをチリの南端だと思っていました。
翌年、その地がチリとは別の島であることがわかったオランダ人は、自国のゼーラント(Zeeland)州に因み、新ゼーラント(Nieuw Zeeland)と呼びました。そして、18世紀に入って、英国のクック(James Cook)が英語化し、New Zealand と呼んだのです。(オランダ語を直訳すれば、New Sealand ですが、z の音を残したのでしょう。)
以後、捕鯨等を中心にヨーロッパ人の移住が増え、その中で英国が力を持ってきました。
英国では19世紀になってロンドンに植民地会社が設立され、特に英国からの移民は数を増してきました。
 
【ワイタンギ条約】
英国の力が強くなると、他の多くの国で見られてきた、あるいは現在も見られるように、もともとその土地に住んでいる人とのトラブルです。ニュージーランドも例外ではありませんでした。
時には英国人とマオリとの間の武力衝突にも発展してきたため、1840年、ニュージーランド北島のワイタンギ(Waitangi)において英国とマオリとの間に条約が結ばれました。ワイタンギ条約(Treaty of Waitangi)と言います。その中身は①ニュージーランドの主権を英国に委ね、マオリは英国国王の臣民になる、②マオリの土地の売却は英国へ行う、③マオリには英国国民としての権利が与えられるというものでしたが、英語とマオリ語との語彙の不一致から、両方の間で法解釈を巡って誤解が生じました。
そのため、数回にわたり英国とマオリとの間で武力衝突を生じました。マオリは条約の後も様々な迫害を受け続けました。
この問題が解決するのは20世紀後半になってからのことです。
 
【英国自治領から独立へ】
英国はマオリとの問題を棚上げにしたままニュージーランドを統治し、工業化も進みました。
そして、1907年、ニュージーランドは英国の自治領となり、第二次世界大戦後の1947年、議会も含め、英連邦(Commonwealth countries)の一員として完全に独立しました。
1975年、ワイタンギ条約の見直しが行われ、それまでに政府がマオリから強奪していた土地の一部が返還され、公用語も英語にマオリ語が追加されました。
現在でもマオリに対する差別は存在しますが、オーストラリアのアボリジニーに対するものと比べれば強いものではないようです。
独立当初からしばらくの間は英国との結び付きの強かったニュージーランドですが、現在では日本を含む近隣諸国との政治・経済上の関係が緊密化しています。
尚、ニュージーランドは世界で最も早く(1893年)女性参政権を認めた国としても知られています。
 
【現在のニュージーランド】
ニュージーランドは外国からの観光客も多く、観光立国といっても過言ではありません。特にオーストラリアからの観光客は近くの国であることも手伝い最大です。
一方、ニュージーランドはオーストラリアの影響を強くうけていて、一部の会社はオーストラリアに本社のある支社や支店であったり、在庫品が少ない時はオーストラリアから取り寄せたりとうことも行われています。
しかし、だからと言ってニュージーランドがオーストラリアの属国であるような印象を持たれるのを好むはずがなく、こんな絵葉書も売られています。
 
 
ニュージーランドの公用語のひとつは英語ですが、オーストラリアの英語と比べると発音やアクセント等から、より英語(British English)に近いとされています。
しかし、ニュージーランド独特の隠語もあり、Kiwi EnglishであるとかKiwi slangであるとか揶揄されています。
これを逆手に取った辞書があったりもしますけど。
  
 私をよく知る人はニュージーランド土産にこんなものを買ってきてくれます。
 
【子守歌】
そんなニュージーランドの「ふるさとの歌」はHine E Hineという子守歌にしました。
マオリの人たちの間で歌われています。
ニュージーランドの著明な歌手キリ・テ・カナワ(Kiri te Kanawa)も歌っていますが、YouTubeからはこれを紹介します。
  
 
          Hine E Hine

E tangi ana koe 泣いているのよね
エ  タキ° アナ  コエ
Hine e hine  わが子よ
 ヒネ  エ  ヒネ
E ngenge ana koe  疲れちゃって
エ  ケ°ケ° アナ  コエ
Hine e hine  わが子よ
 ヒネ  エ ヒネ
Kati to pouri ra もう悲しまないで
カツィ  ト- ポウリ ラ-
Noho i te aroha 愛があるから
 ノホ  イ テ  アロハ
Te ngakau o te Matua ママの胸で
 テ  カ°カウ  オ    テ  マツア
Hine e hine  わが子よ
  ヒネ  エ ヒネ
 
hine:小さな(女の)子を指すことが多く、ここでは「わが子」としました。
マオリ語の発音はほぼアルファベット通りですが、注意することがいくつかあります。
①ta ti tu te to はそれぞれ タ ツィ ツ テ ト となります。
②ng は厳密には ング ではなく鼻にかかる グ。ここではカ° キ° ク° ケ° コ°と表記しました。
従って、Waitangi は ワイタンギ というより ワイタキ° とした方がよいでしょう。
日本語で「学校が」と言う時、「がっこう」の「が」と「~が」の「が」が違うのと似ています。ただし、この区別は北~東日本で顕著で、西日本では明らかでありません。
 
ことばはまず話ことば、聞きことばがあり書きことばはその後です。従って、「ngiは鼻にかけて発音したgiだ」という言い方は正しくはなく、「鼻にかかったgiを文字でngiと書くことにした」というのが正しい言い方です。発音と文字との関係は殆ど全てそうですけどね。

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