淡谷悠蔵氏との出会い

エスペラントを通し出会った人
文学者 淡谷悠蔵
 
朝日新聞2009年8月13日の天声人語に前日が誕生日であったブルースの女王、淡谷のり子さんの叔父ということで淡谷悠蔵氏のことが書かれていました。
昭和30年代半ば、所得倍増計画を叫ぶ当時の池田首相に「所得倍増の中には農民も入っているのか。」と質問し、首相を絶句させたというエピソードです。1961年2月に行われた、国会予算委員会でのことです。
天声人語の主旨は、今回の総選挙に臨む自民、民主両党の農業政策に触れたものですが、この話題とは別に、私はふと淡谷悠蔵氏のことを思い出したのです。
そういえば、悠蔵氏がなくなったのは今頃だったなぁと思い、歴史をたぐってみると、1995年8月8日のことでした。14年前です。享年98歳でした。
 
私はエスペランティストでもあった淡谷氏に何回かお会いしたことがあります。ある時はエスペラントの大会で、ある時は青森のご自宅ででした。私がお会いしたのは、もちろん政界を離れられてからのことでした。
淡谷氏は青森の裕福な呉服商の出身でしたが、店を継がず、農業の道に入り、後に県の農民運動を指導するようになりました。
そして、飛鳥田一雄氏(横浜市長)、北山愛郎氏といった、後に日本社会党の指導者となる人たちとともに左派社会党から立候補し、2回目の選挙で当選しました。
その後、日本社会党の中で機関紙局長等を勤められましたが、1969年に政界を引退されました。
 
淡谷氏は政治家、農民であるとともに、文学者でもあり、特に7巻にもわたる自伝的長編小説「野の記録」には実在の(実在した)人物も登場し、歴史小説の様相も呈しています。
山背(ヤマセ=北東風)が吹き、飢渇(ケカツ)鳥が鳴く(凶作になる)昭和初期の厳しい農民の生活は、まさに農民史そのものです。
 
野の記録に続き、17巻を次々に出版し、それは全24巻の「淡谷悠蔵著作集」となっています。
  
淡谷悠蔵著作集 全24巻(北の街社、青森)        淡谷氏のサイン
 
青森に住んでいない私は、それを出版毎に出版社から直接郵送してもらいました。
第8巻以降には淡谷氏のサインと限定500部の内の何番目の本であるかが記してあります。
↑      .                   
  
 淡谷悠蔵著作集 第24巻(1981,北の町社,青森)                                                                     
 
小説、特に日本の小説はほとんど読んだことのない私ですが、淡谷氏の作品は全部読みました。もちろん、今、事細かにそれらを思い出すことはできませんが。
 
資本論をしっかり理解し若い人にも指導する淡谷氏はマルクス主義者そのものでしたが、一方、現実も直視し、自分の主義のために死んでいく人に対しては「死んで何になる。生きて語っていくことがわれわれの役目じゃないか」と言っておられました。先の大戦にも召集されましたが、必ず生きて帰ると決意されていたそうです。
戦前、投獄されたこともありますが、獄中でエスペラントで書かれた社会主義の本を読み、「エスペラントを勉強しています。」と言ってごまかしたそうです。青森ではエスペラントと言っても官憲の中で知っている人はおらず、ましてやそれで当時の体制に批判的な本を読んでいるなどとは想像できなかったのでしょう。
 
家庭的に恵まれていなかった姪ののり子さんには親のように接し、青森のご自分の土地にのり子さんのための家も建ててありました。結局のり子さんが青森へ帰ることはありませんでした。
しかし、のり子さんのあまりにも向こう見ずで自由奔放すぎる行動は必ずしも望むところではなかったようで、もっと自分の置かれた境遇を受け入れるよう言っておられました。
 
私との接点は単にエスペラントを通してというだけのものでしたが、その作品を通して私は大きな影響を受けたと思っています。
私にとってのエスペラントはことばと言うだけでなく、広く社会への窓口でしたし、今もそうです。
 
アルビレックス新潟サッカーからこのブログにアクセスされた方にとっては違和感を覚える内容かもしれません。
本当はジャンル毎にブログを作るとよいのでしょうが、維持がめんどうです。
ですから、これを「何でもありのブログ」にしています。ご了承ください。

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